2011年7月23日土曜日

ふがいない僕は空を見た

『ふがいない僕は空を見た』 窪 美澄著


読んだ。

5つの短編が続く。
私は「セイタカアワダチソウの空」と「花粉・受粉」が好き。

前半。生々しい性描写で吐きそうになった。

中間。ぼけてゆくおばあちゃん、恋人とお金もってとんずらする母。
貧困、生活保護、アルコール依存症、幼児虐待、自己破産、自殺、一家心中…
人間の弱さ・愚かさ・儚さ、世の中はけっして平和や平等ではない。 
「ダメな大人」というのはいつからなるんやろう? 

良太が自分の人生について考える。
淀んだ地の底から彼を救ってくれた田岡さんの存在がありがたかった。
でも彼にも闇はあって、彼のこの先をもっと知りたかったのになぁと思う。
彼にも幸せになってほしい。

後半。助産婦さんの話。一番グサグサきた。
「彼の自由な生き方を無責任におもしろがって結婚したくせに、
子どもが出来た途端、夫や父親としての責任を彼につきつけた。」
もし、私が今と違った未来に進んでいたら
もしかしたらこうなっていたんじゃないかと思った。

「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかねー」
元ヤンのみっちゃんがすごく頼れるお姉さんで好きやった。
…いいなぁ(笑)。経験したから出る言葉やと思う。つまり何事も無駄じゃないよね。


「生まれておいで」 

この世の恐さというより人間同士の恐さ・弱さやけど 
それでも生きているかぎり何度でも春はくる。

「オセロの駒がひっくり返るように反転するときがきますよ。いつかね。
これくらいの出来事だと思いなさい。花粉を抱えたミツバチが花に触れたくらいの 。」
リウ先生の言葉がすごく優しくて、仕事の合間に
お茶とお菓子を持って会いにいきたくなった。 

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